推し活をするために家族から離れた話。

2020年3月
彼らの存在が気になり始めたのはたしかこの頃だったと思う。


実はこの頃は2019年のM-1で他のとある芸人が気になり、その人たちが出演する番組をマイペースに追っていた。
今まではジャニーズや、ドラマ・映画鑑賞が趣味のため俳優にハマることはあったが、普段お笑い番組をあまり観ないしお笑い芸人を好きになるのは初めてだった。


そんなある日、当時気になっていた芸人のYouTubeチャンネルの動画を観ていたら、関連動画として彼らのバイオハザード実況動画が表示された。


この時は彼らのことは
M-1に出てた和服姿の人たち」
「"漆黒の雷"とか"寿返し"とかの和風変換おもしろかったなぁ」
「そういえばあれって漫才やったん???(お笑いに激疎だったので許して)」
という印象しかなかった。
動画のタイトルには『狂言風実況』と書かれていて「普通の実況じゃないの…??」と興味がわいた。


観てみると涙出るほど笑った。

ずっとガッツリ狂言風な実況なのかなと思ったらだんだん素の話し方になっていく様子(特に「ショットでいくか」が最高)や「白眼じゃ!」「Rikyu Senじゃな」「春画じゃよ!」というインパクトが強いワードチョイスに爆笑だった。
それから動画が更新されるのが楽しみになっていった。


初めての緊急事態宣言が出て仕事が忙しくなったり、家族のことでメンタルをやられまくっていても彼らの動画を観ることでたくさん笑うことができた。


また、芸だけではなく人柄にもすごく惹かれたのだ。その一番のきっかけとなったのが視聴者のコメント欄を読む回。


「ファンのことを黒眼(くろまなこ ※バイオハザードでゾンビのことを白眼と呼んでいたため)と呼ぶ」と言っていたけど、「世の中には黒眼じゃない人もいる(人種的な話)」というとある視聴者の声から「まなっこにしよう」と提案するなんじょうさんと「そうしよう」と同意するみしまさん。

世間的には「考えすぎだ」「そんなことで」と言われやすい小さな声にきちんと向き合って受け入れようとする彼らの優しさに、ずっと家族から「考えすぎ」「だからお前はめんどくさい」と言われてきた私自身の心が救われたような気がした。大袈裟かもしれないし、勝手にですが。

ちなみにファンの名称は、「まなこ」「まなっこ」より「家臣」が浸透しているようだ……………(あれ?)



そのこと以外にも、お互いの目を合わせて話したり笑い合ってる姿やお互いの不得意な部分を自然に補い合う様子を見るたびに「あらやだ何この関係性……素敵……!」と微笑ましくてどんどん彼らの魅力に惹かれていった。


ライブに行きたい。彼らがステージに立つ姿を生で見てみたい。そんな思いも強くなっていった。




しかし、大きな壁が立ちはだかっていた。



私の家には、「子どもは親の老後の世話をするのが当たり前」「これだけお前らにお金を使って養ってやってるんだから文句言うな」なモラハラオトンと「私より幸せになるなんて許さない!キーーッ!」なヒステリックオカンがいた。


母は自分の思い通りにならなければすぐにキレて反論すれば叩いたり家を出るという暴挙を繰り返す人だった。最終的には包丁を持ち出して「私なんていなくなればいいんでしょ!?」と泣き喚くこともあった。


父は女性や外国人への差別的な発言が多く、私に対しては「女に生まれたのはハズレだったな」と言ってきたこともあったし、性的な嫌がらせをされることもたびたびあった。どれだけ「嫌だ」「やめて」と言っても
「じゃあ訴えてみろよ。どうせできないだろ。家族だから許されるんだ」
「俺の性格は死なないと直らないから無理」と言ってきた。


「家族の中で一番稼いでる俺が一番偉い」と威張ることもあったため、父と専業主婦である母との喧嘩も毎日のように繰り返された。


そんな喧嘩や仕事などでストレスが溜まれば不機嫌になってこちらに八つ当たりされるサンドバッグ状態。
冷静な話し合いすらしたことがなかった。


学生でジャニオタだった頃は、友だちと遊びに行ったり推しのイベントに行くたびに母からは
「自分だけ楽しめていいよね」
「あんたばっかり良い思いしてズルい。私はあんたたちがいるからやりたいことは我慢してるのに」
「休みの日くらい家にいなさい。そんなに家族と過ごすのが嫌なのか」
と言われ、申し訳なさそうにしないといけないことや家族に「学校(またはバイト)に行く」と嘘をついて外出することが当たり前になっていた。


両親の機嫌や言動に振り回され、心をすり減らし推し活さえも楽しめない毎日……………





プツンッ(何かが切れる音)

あーーー無理!!!マジで無理!!!!!
このままだと死ぬ!!!自分の好きなことができずに自分自身を殺してしまう!!!!!
もう家族の顔色を伺いながら申し訳なさそうに推し活なんてしたくねぇ!!!!!!!!誰にも邪魔されたくねぇ!!!!!!!!!(中指立てるポーズ)


こうして、実家脱出大作戦を決行することにした。


実はその前から「この家から早く出ないと」とは薄々思ってはいたのだが、
「一人暮らししていくためにもっと貯金した方がいいのでは?」
「どうやって一人暮らししたいと伝えればいいのか」
「そもそも一人暮らしできるのか?」
という不安や悩みが大きく、小学生の頃に診断された鬱の症状(今は落ち着いて社会復帰できるようになったがたまに襲ってくる)で思うように体が動かない日もあり、なかなか決行できずにいた。


そんなモヤモヤぐるぐるの毎日を送っていた私に推しという突然の出会い。
「YOU、早くこの家から出ちゃいなよ☆」
という神のお達しだったのかもしれない(自分の都合良すぎ解釈)


再びそう決意したが、「やっぱり家を出るならお金がないとな」ということでコツコツ貯金をして約一年が経った。


そしてある日、日常を壊す爆弾を家族に投げた。


冷静に話し合いなんてできない家族なので結局「一人暮らししたい」と相談することなく、黙って家を出たのだ。

黙って家を出たせいで色々大変なことがあったけど話がもっと長くなるのでやめておく。



実家を出て落ち着くまで、たくさん彼らに元気をもらったし、ツイッターで実家大脱出ゲームのリアタイ実況をしていると、フォロワーさんからリプやDMで優しく声をかけていただいたり、温かく見守っていただきました。心の支えでした。本当に本当にありがとうございます。
推しと出会ってから、こんな素敵なご縁があるとは………



一人暮らしを始めてから、好きな時間に絵を描いたり推しの出演番組をリアタイしたり推しの誕生日にケーキを買ってお祝いしたりお笑いライブに行ったりして

「うひょ~~!!自由に推しを推せるぞ!!!」

と喜びを噛みしめる日々。



だが、幼少期から心にポッカリと空いた大きな穴はどうしても埋められないことにふと気づく。
家族とは離れて直接攻撃を受けることがなくなっても精神状態がずっと不安定で、家族との嫌な思い出がふとよみがえって胸が苦しくなったり「死にたい」と思うことが多かった。


何年も前から精神科に通っていて先生との相談で「まずは家族から離れた方がいいのでは」という結論に至り、一人暮らしをする準備に専念しすぎたため、通院を勝手にやめていた。ダメなことなんですけどね………言い訳をすると病院に行くまでの気力体力がなかったのです…………まじでちゃんと病院行こうね…………


これからもマイペースに推しを愛でながら自分の心の問題と向き合っていきたいなと思っております。


拙い文章で申し訳ありませんが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。